ボトックス注射ができるようになりました。(その4)どんなふうに治療するの?
2021/03/10
ボトックス治療の手順
(1)まずは診察をします。
ボトックス注射ができるようになりました。(その3)どんな病気の人が対象?
の記事で、どのような疾患の方が治療の対症となるか説明いたしました。
このような疾患をお持ちの方で、四肢の筋肉のこわばり、異常な収縮(痙縮 けいしゅく と言います。)が続いている方は、ご相談ください。
ボトックス注射で症状が改善し、生活しやすくなる可能性があります。
在宅医療や外来診療の際に、四肢の筋肉のこわばり、異常な収縮が続いている方がおられたら、私のほうからその方にボトックス注射についてお勧めする場合もあります。
このような患者様がおられた場合、まずは詳しく診察をします。
・痙縮の原因は何か。
・どの筋肉が痙縮を起こしているか。
・痙縮の強さはどの程度か。
・日常生活にどの程度の支障があるか。
・治療によりどの程度の改善が見込めるか。
などのことを調べます。
(2)治療の方針や合併症などについて詳しく説明いたします。
詳しい診察の結果、ボトックス注射によって、症状が改善し、生活する上での問題が改善すると見込まれる場合は、患者様やご家族に詳しく治療について説明をいたします。治療の結果起こりうる問題についても説明します。
同意がいただけた場合は、同意書に署名をしていただきます。
(3)注射をします。
説明が終わり、同意書がいただけたら、治療の予定日を決めて、薬を発注します。
2〜3日で薬が届きます。
当日は、まずは全身の診察をして、注射をすることに問題がないか確認します。
痙縮を起こしている筋肉を注意深く見きわめて、正確に、その筋肉に2〜3か所、少量ずつ、ボトックスを注射します。痙縮を起こしている筋肉は一つの上肢または下肢につき、数本あるので、それぞれの筋肉に対して、注射を行なっていきます。痙縮の範囲の広さにもよりますが、だいたい一つの上肢または下肢について、合計10〜20か所ぐらい注射をすることになります。
患者様の痙縮の部位によって、一つの肢だけに注射することもありますし、四肢全部に注射することもあります。
全身状態に問題がないことを確認して、治療を終えます。
(4)定期的に診察し、経過を観察します。
注射の効果は2〜3日ぐらいで現れてきます。その後は次第に効果が弱まっていきます。
効果は3か月ぐらい続きます。
定期的に診察をして、経過を観察します。
ボトックス注射に効果があり、生活の改善のために有用であった場合には、効果が切れる頃(3か月後頃)に再度の注射を検討することになります。